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ここ20年くらいの間に、科学の世界では老化の仕組みが次々と明らかになってきました。老化を遅らせることで、多くの疾患が解決されると言われています。

 

人生100年時代に突入しようとしている今、アンチエイジングは多くの人が求める切実な課題になっています。国は、膨れ上がる医療費や介護費を削減するために、老化にともなう様々な疾病を予防することに必死です。

 

多くの人が天寿を全うするまで健康でいられれば、これほど素晴らしいことはないのです。そのために、最新の情報が正しく伝えられればいいのですが、現実はそうではありません。

 

アンチエイジングの話題は、多くの人々がすぐに飛びつくのでどうしても怪しい情報が氾濫してしまうのです。サイエンスの世界できちんと認められた根拠のある情報は、一般の人に正しく伝わっていないのが現状です。

 

そこで今回は、科学的に評価された老化と寿命の学説について、最新情報も付け加えて分かりやすくご紹介します。

サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)のその後 

カロリーを3割減らすと老化の抑制に効果があるという情報が一時話題になりました。サルを使って20年間実験したところ、病気が少なくなったり、見た目が若返ったことが証明されたのです。

 

カロリーを制限することで、眠っていたサーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)が活性化し、さまざまな老化要因を抑えてくれる”と当時は説明されていました。

 

サーチュイン遺伝子については、2011年にNHKスペシャルで放送された時に大反響があったので、記憶にある方が多いかもしれません。

 

しかし最近になり、「実はサーチュイン遺伝子は嘘だった・・・」というような内容の情報がネットにたびたび見られるようになりました。その根拠は2つあります。

 

 

① 人間を使った追試で明らかな効果が現れなかった。

 

② 若返りにはサーチュイン遺伝子ではなく別の遺伝的要因が由来することが明らかになった。

 

 

じゃあ、カロリー制限しても意味ないじゃん!と簡単に決めつけないでください。

 

確かに、サーチュイン遺伝子の活性化=長生きという理論は、今では否定的な意見が科学界では主流です。しかし最近の研究では、サーチュイン遺伝子が高血糖を止める働きに関係があるということが分かってきたのです。

 

サーチュイン遺伝子が私たちの健康に何らかの関係があるのは、まちがいありません。また、カロリー制限と寿命の関係を強く否定するような研究発表は出ていません。

 

従って、今後の研究次第では新たな見解が出てくる可能性も十分にあるのです。どのような研究でもそうですが、何か一つの要因ですべてが解明されるということはなく、結局いろいろな要因が複雑に影響しているのです。今後の研究の進捗に注目したいところです。

ミトコンドリアは活性酸素の生産工場?

活性酸素は、毒性が強く体内の細胞を酸化させることで老化現象を引き起こす悪者として有名です。

 

この活性酸素の発生源として、細胞の中にあるミトコンドリアに注目が集まっています。

 

ミトコンドリアは、私たちが呼吸で取り入れた酸素を使ってエネルギーを作ります。その際、酸素の一部が活性酸素に変わります。ミトコンドリアから生成される活性酸素は、なんとミトコンドリア自身も傷つけます。

 

その結果、傷ついたミトコンドリアからさらに多くの活性酸素が生成されるという悪循環があると考えられているのです。このようにミトコンドリアは活性酸素の主要な発生源なので、老化と深く関係していると考えられているのです。

 

ところで活性酸素には、いい面も確認されています。実は、体を守る働きもあるのです。例えば体内に侵入したバクテリアを殺す際に使われたり、がん細胞を殺す場合にも活性酸素が使われたりしているのです。

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ですから、活性酸素=悪者という考え方で、体内にある活性酸素をすべて取り除こうという発想は、人の体にとって必ずしもいい結果をもたらさないのです。なんでもそうですが、すぐに白黒つけて極端な健康法に走る考え方は戒めるべきでしょう。

フリーラジカル説ってなに?
活性酸素で老化が進む

フリーラジカル説とは、「老化はフリーラジカルによって細胞が破壊されことで起こる」という学説です。フリーラジカルのフリーは「自由」、ラジカルは「過激な」という意味です。

 

ものすごく簡単に言いますと「自由に動き回る電子をもった分子構造」がフリーラジカルで、その代表格が活性酸素と言われています。(*但し厳密に言うと、すべての活性酸素がフリーラジカルなわけではありません)。

 

フリーラジカルは非常に不安定で、他の分子とすぐに反応して破壊的な作用をもたらします。つまりフリーラジカルは体内の細胞を駆けめぐって、他の安定した分子を破壊するのです。

 

その時にさらに多くのフリーラジカルが生まれます。フリーラジカルが過剰に生成される要因には、不規則な生活やアルコールの大量摂取、過重なストレス、偏りのある食生活などがあると言われています。

 

体内で過剰に生産されたフリーラジカルによって、動脈硬化や糖尿病、パーキンソン病やアルツハイマー病といった脳神経疾患、がんといった幅広い疾患を引き起こす可能性があるといわれているのです。

 

テロメア説ってなに?
どうして命の回数券と言われるの?

「テロメア」とは染色体の末端にある塩基配列です。細胞が分裂するときに染色体はコピーされますが、染色体の末端にあるテロメアだけはコピーされず、分裂のたびに少しづつ短くなっていきます。

 

赤ちゃんの時のテロメアは、だいたい1万5,000塩基ほどあります。しかし35歳でおよそ半分の75000塩基になると言われています。テロメアが2000塩基ほどになると、これ以上の細胞分裂ができなくなるのです

 

このようにテロメアが減ると新たな細胞ができなくなり、細胞が死滅(=生命の終わり)になるので、テロメアは命の回数券とも呼ばれているのです。

 

つまりテロメア説とは、「細胞の分裂回数には限りがあり、それにテロメアが深く関わっている」とするものです。

 

もう少し詳しく言えば、細胞分裂の度にテロメアが短くなると、細胞の染色体を保護できなくなり、その結果、細胞が死ぬ(=寿命が尽きる)と考えられているのです。

 

しかしガン細胞や生殖細胞などは、無限に分裂を繰り返します。これはテロメラーゼという酵素が働き、テロメアの短縮を防いでいるからと考えられているのです。

 

そこで今、このテロメラーゼを使った抗がん剤の開発や老化を防ぐ研究などが進められています。

 

因みにテロメアの長さには個人差があり、長寿で知られる長野県高山村の村民は、比較的長いテロメアを持っているというデータがあります。またテロメアの減少幅は細胞の種類ごとに違い、神経や心筋の細胞は分裂を繰り返してもテロメアの長さはほとんど変わらないことが分かっています。

 

さらにアメリカの最新研究では、心理的ストレスがテロメアの減り方を速めているという報告も出ています。ストレスが寿命を縮める可能性があるということです。

まとめ

老化に関する研究は、日々進化しています。老化や寿命を決める要因はたくさんありますので、今回取り上げた学説はその指標の1つでしかありません。

 

最新の研究報告は、裏返せばまだ検証はできていないといということです。ですから、センセーショナルな研究結果をすぐに妄信せず、その後の検証結果を冷静に見ていく必要があります。

 

しかしそれほど遠くない将来、日本人の平均寿命が100歳を超えるのはほぼ確実でしょう。でも単に寿命が伸びればいいのではなく、最後まで元気に生き生きと生活できるかが大切です。

 

多くの方が人生の最後の日まで健康で生き生きと暮らせれば、こんな素敵なことはないですね。

 

 

参考記事⇒老化は止められる?最新の研究で分かった老化の新事実とは

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